HOME > どうぶつ健康百科 > ひも状異物による腸閉塞
異物による腸閉塞の中で厄介なものに、「ひも状異物」と言うものがあります。
ミシン糸など細くて長いひも状のものを飲み込んだ場合、そのまままとまって便に交じって排泄されれば問題ないのですが、糸の端が腸管に引っかかり、腸がアコーディオン状に手繰り寄せられてしまう事があります。
この様になってしまうと、単純な腸閉塞ではなく、腸管が裂けて腹膜炎を起こしてしまう事があります。
左のレントゲン写真は、慢性の嘔吐があるとの事で来院した、5歳のT・プードルです。
バリウム投与24時間後のレントゲン写真です。24時間経ったにも関わらず、胃内の食渣の滞留と、アコーディオン状の小腸が造影されています。タオル的なものを飲み込んだ場合、タオル生地はバリウム液を吸収して、いつまでも造影が残ります。
同じ症例の手術中の写真です。
小腸が糸によってアコーディオン状に手繰り寄せられているのが分かります。胃内にもタオルがあり、同時に取り出しました。
結局詰まっていたのは細く裂けたタオルでした。タオルは細くひも状に裂けるので、この様な症例が起きる事があります。
タオルをかんで裂いてしまうワンちゃん・ネコちゃんを飼われている飼い主様は、この様な事故が起こらないよう注意しておく必要があります。